アニメ観たよ

『さらざんまい』#1「つながりたいけど、偽りたい」感想

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ついに始まっちゃいました。アニメ「さらざんまい」。

http://sarazanmai.com/

Amazonビデオのプライム対象で配信中なのでそちらで観始めました。

私、本作の監督・幾原邦彦さんの監督作品が本当に大好きなんです。

『少女革命ウテナ』はアニメどころかすべての映像劇の中で一番好きですし、『輪るピングドラム』は2011年当時の世相もあって衝撃亭なアニメーションでした。

記号やメタファーを散りばめたり、メタフィクションを活用して現実を批評していく幾原氏の作風は『メタファー・寓意大好きオバケ』の私としては好物中の好物。

あ、でも『ユリ熊嵐』はまだ観てないですね…なんかすいません…ユリ熊嵐も近々見ます。

 

せっかく始まった「さらざんまい」、やったことないですが毎話感想を書いてみようかと思っています。

後で見返すと的外れなことを言っていた、なんて可能性もあり得ますが、記録すること自体に意味があるかなと。

たぶんスマホ時代の個人と個人の繋がりについて描こうとしている?

第一皿:つながりたいけど、偽りたい

東京・浅草。中学二年生の矢逆一稀、久慈悠、陣内燕太の三人は、カッパ王国第一王位継承者を名乗る謎の生命体ケッピと遭遇し、「尻子玉」を抜かれてカッパにされてしまう。人間の姿に戻るため、三人がクリアしなければならないミッションとはー?

とりあえずはまだ説明されていない事象が多すぎて分からないことだらけですね。

ただ語ろうとしていることのテーマは饒舌なぐらい語っている気がします。

散りばめられたスマートフォンや自撮り、動画配信などのモチーフはインターネット、特にスマートフォン時代のSNSや動画配信などのメディアの存在を意識させます。

幾原監督は基本的に個人と社会の関係(そしてその残酷さ)を描いている作家なので、当然今回はスマートフォン時代における個人と社会の関係を描くのだと思います。

 

これまで幾原監督の作品で描かれた社会の概念はウテナでは学校、ピングドラムでは家族という閉じた生態系であり、その中にいるウテナや晶馬達はその外にある世界に出ることはできず大きく羽ばたくことはできませんでした。

裏返すとそれは社会が外殻となって、外の世界に渦巻く悪意や不条理に直接触れることはなくある程度守られていたことも意味しています。

世界の悪意や不条理はウテナにおけるあいつとかピングドラムにおけるあいつという個人の姿を借りて社会の内側に現れ、ウテナや晶馬達を蝕みますが、悪意や不条理が形ある「敵」として現れてくれたおかげでなんとか彼らはそれと闘うことができたとも言えます。

 

しかし現在のスマートフォン時代においては、個人がほぼ世界に近しいサイズを持つインターネット社会と直結してしまいます。個人が世界の悪意や不条理と直接対峙した時に、学校や家族の中の敵と闘った時のように本当に立ち向かえるものなのでしょうか?

個人と世界の距離があまりに近づいた今だからこそ、まずは個人と個人の繋がりに目を向けなければならない。そういう考えが本作の制作側にはあるような気がします。

箱の中に抱えた「外見の欲望」と腹の中に抱えた「深層の欲望」

1話の中でも特に重要と思しき2つあるキーアイテムのうちの1つ「箱」。

「箱」を持っている主人公・矢逆一稀は箱を大事そうに抱え、持っていない人はそれを渇望するという描写は、いかにもAmazonのような通販サイトの梱包ダンボールのような箱のビジュアルも相まって、「箱」という非常に物質的なアイコンとして目に写ります。

商業的にパッケージされた状態はいかにも「私はこれが好きです!」と誇示せんばかりのお行儀のよさ。人に見せるために外面を取り繕った「好きの感情」のように見えます。そしてそれは劇中の世界にあふれている。現代が人に見せるための好きにあふれていることの示唆に思われます。

 

一方もう一つのキーアイテム「尻子玉」。

同じく欲望をテーマにした本作の中で「箱」と対になると思われる存在です。腹の内側に隠していてなかなか人には見せられない、人に見せるためには尻の穴から引き出さないといけない、そのためには尻の穴を人に見られないといけない!

誰かとつながりたい、でも恥ずかしいから見られたくない!でも誰かに見てほしい!

アンビバレントながらも誰しもが持っていて共感できる感情だと思います、特に現代においては。

しかしですね…尻の穴から尻子玉を引っこ抜くなんてビジュアルをガッツリ画面に描いちゃうんだからビックリですよ!しかも粘液が飛び散りまくってるし…

このあたりちょっと私的には正視に耐えないぐらいキツイ描写だったのですが、人の内面の欲望など他人から見れば当然見てられないほどグロテスクなものでしょうから、必然的な表現とも思えます。

 

さっそく一稀は自分の好きなアイドルになりたいという願望から女装自撮りをしているという大多数の価値観は恐ろしく恥ずかしい趣味を晒されることになりました。

本作は以降人に見せたい欲望と人に見せたくない欲望の狭間で揺れ動く自意識に関して描いていくのでしょうね。

「ウテナ」っぽく他人の欲望を解呪していくのかな?

1話後半でなんだかよく分かんない精神空間に行って誰かの欲望と戦う展開は「ウテナ」の決闘を連想しました。

ウテナにおける決闘場は、ウテナと対峙する対戦者の内面のトラウマや葛藤を具現化したもの(でも劇中では物理的に存在している!)で、内省的なドラマとカタルシスのある活劇を共存させる見事なアイデアだと思っていたので、この展開が毎回の定型の展開になるとしたらうれしいですね。相手のトラウマをガッツリ描いていってくれると私が喜びます。

(話はそれるんですけどウテナは「黒薔薇編」が超超超大好きなんです~。「凡人」たる対戦者たちの事を「超人」ウテナがあまりその凡庸さゆえの苦しみを理解しないまま一方的に切り捨てていくのがたまらなく好きでした。弱者が強者の理論と関係なく、勝手に成長したり挫折したりトラウマから解放されたりしていくのがいいんですよ~)

バトルシーンはビジュアルがなんだかスマホゲーのレイドバトル(複数プレイヤーによる協力してのボス戦)っぽくて面白いですね。

 

とにかく、期待・期待・期待の一言です!

しばらくふざけ切ったギャグ満載の話が続いた後、どんどん暗くて重い話になっていくんだろうな~。楽しみで仕方ありません。

ちょうどこの記事を書いた次の日に2話配信です。楽しみ~。

みんなにぜひ観てほしいので放送・配信情報も貼っておきますね。

放送局 放送開始日 曜日 放送時間
フジテレビ 4月11日 24:55~25:25
秋田テレビ 4月11日 25:20~25:50
岩手めんこいテレビ 4月11日 24:55~25:25
さくらんぼテレビジョン 4月11日 24:55~25:25
仙台放送 4月11日 26:00~26:30
福島テレビ 4月11日 25:25~25:55
新潟総合テレビ 4月11日 25:45~26:15
テレビ静岡 4月11日 25:35~26:05
東海テレビ 4月11日 26:10~26:40
関西テレビ 4月11日 25:55~26:25
テレビ愛媛 4月11日 25:15~25:45
テレビ新広島 4月11日 25:55~26:25
テレビ西日本 4月11日 25:55~26:25
サガテレビ 4月11日 24:55~25:25
テレビ熊本 4月11日 25:45~26:15
鹿児島テレビ 4月11日 26:00~26:30
長野放送 4月11日 25:30-26:00
山陰中央テレビ 4月29日 25:00-25:30
アニマックス 5月12日 24:00~24:30

配信情報

放送局 放送開始日 曜日 放送時間
FOD 4月11日 25:25~
Amazon Prime Video 4月12日 12:00~
アニメ放題 4月12日 12:00~
dアニメストア 4月12日 12:00~
dTV 4月12日 12:00~
ひかりTV 4月12日 12:00~
U-NEXT 4月12日 12:00~
J:COMオンデマンド メガパック 4月13日 0:00~
ビデオパス見放題 4月13日 0:00~
みるプラス プライム 4月13日 0:00~
バンダイチャンネル 4月19日 12:00~

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